れんげと草肥とハチミツの話


昔は田んぼやあぜ道など、

どこにでも広がっていたれんげの花畑。

子どもの頃、花を摘んで遊びませんでしたか?

 

今はだいぶ見かけることが少なくなりました。

あの懐かしいれんげ畑はどこへ消えたのでしょう。

調べてみると、いろんなことが分かりました。

 


れんげと草肥(くさごえ)の話

 

れんげは蓮華草ゲンゲともいいます。

中国原産マメ科ゲンゲ属の耐寒性一年草で、

若芽をおひたしにしたり花を天ぷらにしたり、

実は食べられる植物です。

 

れんげやクローバー、大豆などのマメ科の植物には

他の植物にない特徴があります。

それは根粒菌(バクテリアの一種)という土壌微生物を

根にある根粒(瘤)に住まわせていることです。

 

根粒菌は大気中の窒素をアンモニアに変換し(窒素固定)、植物の生育に欠かせない窒素化合物(=アンモニア)をれんげに与えます。

れんげは根粒菌に住む場所と栄養分を与えます。

こうして共生関係を結び、互いに生長しているのです。

 

昔の農家は秋の収穫前の水田にれんげの種をまき、

春に窒素を含んだれんげを土に混ぜ込みました。

草肥(くさごえ、緑肥とも)といって

自然にできる理にかなった肥料です。

 

戦後は生産量の拡大を目指し、化学肥料が普及しました。

時代の流れと共に姿を消していったれんげ畑。

そこで作られるお米もまた、

いまや貴重なものになっているのです。

 

「ときわれんげ祭」の行われるれんげ畑も、

5月の中旬にはトラクターでれんげをすき込みます。

草肥を使えば化学肥料を減らすことができます。

力のある土壌を作ることができれば、

消毒や農薬を最小限に抑えられます。

畑に棲む生物の力を引き出しつつ、米作りができます。

見て楽しいれんげ畑は、

安全な米作りの場でもあるのです。

 

 


れんげとハチミツの話

 

れんげは可憐で愛らしいだけでなく、

肥料になることが分かりました。

そしてとてもよい「蜂蜜の源」でもあるのです。

 

ミツバチが蜜を集める蜜源植物

現在、その蜜源植物が大幅に減少しています。

ここ長野県も例外ではありません。

安全な国産のハチミツを生産していくためには、

蜜源の確保が急務となっているのです。

 

れんげは、上質なハチミツができる蜜源植物の一つです。

くせの少ない上品な甘さのれんげのハチミツは、

どこか懐かしい味わいで日本人好みです。

 

信濃大町・常盤地区では「れんげ草の里」を目指し

有志の住民が活動を続けています。

ときわれんげ畑では、4月下旬から5月下旬まで

ミツバチが蜜を集める姿が見られます。

希少価値の高い国産ハチミツを求めて、

どうぞ信濃大町にお出かけください。